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羊皮紙に指定された時間が近くなったので、ぼちぼち室内闘技場に向かうことにした。
入学式を室内闘技場で行うというのも斬新な気がするが、いずれは何度も世話になる場所だ。最初のうちに覚えておいて損はないだろう。
「サクさんサクさん」
低い位置から人懐っこい声を洩らすのはメイリアだ。メイリアは『サークル』からもじったのか、俺のことをサクと呼ぶ。
「今からここに各国の精鋭が集まるんですよね! しかも同い年の!」
どうやら奇遇にも同じことを考えていたようだ。
「そうだな。 そんでこれから、そいつらとバトったり、友達になったりする生活が始まるってわけだ」
うわぁー、と想像を巡らせ、瞳を輝かすメイリア。本当に無邪気な子供みたいだ。絶対口には出さないけど。
「早く始まらないかなぁ、入学式」
メイリアとは気が合うようだ。数分前の俺とまんま同じ言葉を呟くあたり。
室内闘技場は、いつの間にか多くの人で埋まっていた。
高まる喧騒、そして、緊張。
「静粛に」
それらを、のぶとい声が全部切り裂いていった。
いよいよ、だろうか。
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