一話◇「永久中立国、ファルム」

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 * * *  羊皮紙に指定された時間が近くなったので、ぼちぼち室内闘技場に向かうことにした。  入学式を室内闘技場で行うというのも斬新な気がするが、いずれは何度も世話になる場所だ。最初のうちに覚えておいて損はないだろう。 「サクさんサクさん」  低い位置から人懐っこい声を洩らすのはメイリアだ。メイリアは『サークル』からもじったのか、俺のことをサクと呼ぶ。 「今からここに各国の精鋭が集まるんですよね! しかも同い年の!」  どうやら奇遇にも同じことを考えていたようだ。 「そうだな。 そんでこれから、そいつらとバトったり、友達になったりする生活が始まるってわけだ」  うわぁー、と想像を巡らせ、瞳を輝かすメイリア。本当に無邪気な子供みたいだ。絶対口には出さないけど。 「早く始まらないかなぁ、入学式」  メイリアとは気が合うようだ。数分前の俺とまんま同じ言葉を呟くあたり。  室内闘技場は、いつの間にか多くの人で埋まっていた。  高まる喧騒、そして、緊張。 「静粛に」  それらを、のぶとい声が全部切り裂いていった。  いよいよ、だろうか。
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