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「へい、なんだい。締まんない顔してんねぇ」
俺の席の後ろ、たった今俺の背を突いた本人がニヤニヤとした笑いを浮かべながら、ちょっかいをかけてきた。いい度胸じゃねえの。
「あいにく、誰にも興味が湧かなくてね」
「言うねぇ」
くくく、と笑いを噛み殺しあう俺たち。多分第三者から見たらかなりキモイ。
「まあなんだ、この自己紹介はノートにメモっても良いくらいのモンだと俺ぁ思うぜ? このクラス、一見締まらねぇ奴ばっかに見えるが――とんだ化け物ぞろいだ」
あんたもな、と後ろの席の締まらねぇ奴は言った。
「その口調だと、このクラスにどんな奴らが集まっているのかを知っているのか?」
「当然。 何故なら俺ぁ、情報通だから」
情報通。いきなり良い関係が望めそうな奴と出会ったもんだ。
「ほら、見てみろ、サークル=マリオンダイブ。 あれがうちのエースだよ」
俺の名前を知っているのか、と問い返そうとしたが、あいにく俺の目線は自称情報通の指先が示す方向と重なっていた。
そこには、新入生代表の挨拶でも見た、花車な少女が立っていた。
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