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「風の国出身、シルフ=カミカゼです! 趣味は、えーと……お散歩です! 学園生活では友達をたくさん作りたいです!」
ポカーンとしたのは俺だけじゃなかった。何この元気っ子。新入生代表の挨拶とのギャップが広すぎて、するべきだろう拍手を忘れてしまっていた。
シルフは凍った場に戸惑い、え、え、と唸っていたが、やっと起こりはじめた拍手――後ろの情報通が起点となったそれ――をきっかけに、ようやく音が戻ってきた。
後ろの情報通は、笑う。
「風の国出身なら誰でも知ってることよ。 シルフ殿が“ああ”ってことはな」
「殿?」
「カミカゼ家は風の国の王家みたいなもんで、俺らぁ“殿”ってぇ敬称を付けるのが一般的なのよぉ」
変わった習わしを持った国だな、と言おうとした口を繼んだ。国際理解、国際理解っと。
「おい、良いことを教えてやろうか」
「なんだい、面白いことかい?」
ああ、とっておきだ。
「次見てろ、面白いことが起きるからな」
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