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学生寮への帰り道、顔を赤くしたままのメイリアを引き摺りながら、今日のハイライトシーンをリプレイしていた。
一番頭に残っているのは、メイリアには悪いが、情報通の「とんだ化け物ぞろいだ」というあの発言。
ヤバイ、ウズウズする。はやく戦り合いたい。
また顔が怖くなっているであろう俺に、一陣の風――突風が過ぎ去っていった。
……呼んでる、のか?
悪いが今の俺は喧嘩上等の低沸点状態。戦いの匂いを一瞬でもちらつかせたら、例え相手が先輩や先生でも――“始まっちゃう”よ?
俺は突風が吹き付けてきた方向へと歩を進めた。
* * *
「やー、呼び出して悪いね」
俺たちの寮の真裏にある、広い庭園。
そこにいたのはシルフ=カミカゼと、
「スノウがどうしてもって言うからさ」
シルフの影に隠れたのは白銀の髪を自然的に且つ彫刻的に垂らした、女。
「スノウ……」
後ろでは、いい加減動き出してメイリアが構える。
「サクさん、」
「わかってる」
スノウが怒っていることくらい。
スノウこと、スノウ=ホワイトデイは俺の幼なじみで、俺の――元カノだった。
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