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――こん、こん、こん。
軽いノックの音が、三回。
「はいよー」
血が沸騰するくらい興奮していた俺だったが、今の軽い音で、さっさと冷めてしまった。
念のため水道水を顔にぶっかけてから、解錠へと足を向ける。
ぎぃ、という金属の軋む音が少し耳障りだったが、ドアの先にいた人物を見ると、そんな小さなことなんてどこかへ飛んでいってしまった。
ショックピンクのショートボブ。一見すると可愛らしい男の子に見えなくもないような女の子がそこにいた。少し朱に染まった顔、そして震えがちの口を開いて――
「は、はじめまちてっ!」
盛大に噛んだ。
おい、赤ちゃん言葉みたいになっちゃってるよこの子。
しかしそれでも彼女はめげずに続ける。
「メイリア=センチュリアでっ! ヴァルカン出身でっ! 隣の部屋なので! 以後お見知り置きを!」
とりあえず、言いたいことは伝わった。
「俺はサークル=マリオンダイブ。 レヴィアン出身だ。 よろしく、メイリア」
握手を求めるが、当のメイリアは噛みまくったからか、顔を髪と同じ色に染めていた。
なんといってもこの学園最初の知り合いだ。ここは大事にして、友達になりたい。
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