~序章~

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辛い事があると、空を見上げた。 空を眺めると───いつも月が、出ていたから……。 毎日、毎日、空虚な気持ちでも、月を眺めていると気持ちが安らいだ…。 三日月、下弦の月、上弦の月──満月。 毎日、形を変えながら…… 昼は白く、夜は時折色を変えながら……。 何度も満ち欠けを繰り返し、でも、いつも其処にある。 ───雲の影、曇り空。 見えないと思ったら、ひょっこりまた現れる。 心は欠けても、必ず満ちていく、月のように。 満ちても、また欠けていく…。 ───その繰り返し。 欠けたままでも 満ちたままでもない。 そんな、虚ろう流れの中で ───佇んでいた。
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