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英雄「おい!早く寝なさい!!今何時だと思ってる?」
二十二時を回った頃、一軒のアパートから怒鳴り声が聞こえてきた。
沙穂「だって勇気が!」
その怒鳴り声に対し、英雄の長女沙穂が不満そうに言った。
勇気「うぅうん!!だって沙穂が!!」
沙穂に言われた事を真似するかのように勇気が言う。
毎晩のように繰り返されるこのやり取りに英雄はいい加減苛ついていた。
英雄の家には妻はいなかった。
元々はこの三人の他に、妻の「綾」とまだ生後10ヶ月の「五月」がいたが、家庭的な事情によって家族は分散された。
つまり英雄と綾は離婚し、上の子二人は英雄が引き取り、まだ幼い五月は綾が引き取るといった形で兄弟は離れ離れになった。
なかなか寝ない子供達に堪忍袋のおが切れ、英雄は言ってはいけないセリフをを言ってしまう。
まさかそれが現実になろうとも知らず。
英雄「ちゃんと寝ないと魔王がお前達をさらいに来るぞ!?」
英雄は二人を脅すつもりで言っただけだった。
しかし、怒れど、脅せど二人の子供達は一向に寝ようとしない。
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