追憶

5/6
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
部活が終わると宗磨は必ず体育館に迎えに来てた。 「じゃーね奈津美」 エリとアキは帰って行く。 「バイバーイ」 当たり前の日常だったけど、「私もたまには二人と帰りたい」と愚痴がもれた。 「え?何で?」 宗磨はキョトンとした。 「何でって………」 「お前は俺がいるからいいだろ」 宗磨は私の言葉を遮った。 まだ子供な私は宗磨のその一言にキュンとなって、頷いた。 昔から一緒だから、今更好きだの付き合うだのって言葉が私達にはなかった。 宗磨は私の事好きなのかな? 昔から一緒だから今もいるだけなんじゃ…と思い始めた。 帰り道に、あの先輩が誰と付き合ってるとかって言う話になった。 「中学になると何か増えるよね」 小学生の内じゃ“両思い”で終わるのに。 「宗磨は好きな人いないの?」 私はサラリと自分でも不思議な事を宗磨に聞いてしまった。 …いや、本能で聞きたかったのかもしれない。  
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!