記憶

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白い雪に鮮血が散った。 ――あれはまだ寒い冬だった。 雪国の田舎町で育った私は、バカの一つ覚えのようにこの恋しか知らなかった。 全てがスローモーションに見えた。 宗磨(そうま)の顔が一気に歪んだと思ったと同時だ。 気付けば私は冷たい雪の中に顔を突っ込んでいた。  
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