記憶

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『宗磨ぁ!!!!!』 『奈津美!!!!!』 私を呼ぶ声と、宗磨を呼ぶ声が混ざった。 宗磨は誰かに押さえられたらしい。 私はもう一発殴られずにすんだ。 周りが騒いでるのに私は冷静だった。 白と赤の小さな世界をぼんやり眺めて、口を手で抑えていた。 私は宗磨とは一緒にいれない。 でも私には宗磨が必要だった。 宗磨の支配欲が強くなる度に逃げたくなったけど、私はきっと駄目なんだ。 …運命? 運命なんか信じねぇよ でも宗磨と私は`絶対'だった。 逃れられない運命。 あと少しだ。 私は自由になれる。 雪降る寒い朝だった。 私が高校3年の冬。  
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