追憶

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「別にどうも…」 私はボールをアキにやった。 「ふーん」 二人がニヤニヤして見てる。 「何!!!」 私が声を上げると、「ちょっとそこ真面目に練習してー!」と先輩に怒られた。 私かよ… すみません~と頭を下げて自主練を続けてると、エリがこそっと言ってきた。 「奈津美は宗磨だもんね。付き合うとか言われなくても一緒だから関係ないか」 小学校からエスカレート式のうちらの間で奈津美=宗磨 という図式がすっかり出来上がっていた。 それを嬉しくも感じながら何だか寂しい気持ちにもなった。 一つの絆で永遠に結ばれているならば、私はこれから宗磨以外の人を好きになることはないのだろうか? 宗磨しか知らない人生を歩むのかな。 永遠なんかこの世にあるのかな。 まだ中学生の私には未知だった。 でも宗磨の顔を見たら別にどうでもよくなった。 今が楽しけりゃいっか。  
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