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明らかになった事実により、静寂に包まれて2-Aの教室。
その静寂を破ったのは、やはりこの男だった。
「そういう訳だ。不幸になりたくないなら───」
そこで一度言葉を切ると、辺りを見渡す春輝。
そしてクラス中を威圧する様に鋭い眼で睨み……
「俺に関わるな!」
そう叫ぶと、窓際の一番後ろ。空いている自らの席まで歩いて行き、ドカッと椅子に座り込んだ。
もう誰も、恐怖から振り返ってまで春輝を見ようとする者はいない。
「…そ、それじゃあHRを再開しましょう」
クラスの雰囲気をなんとかする為、無理矢理にHRを再開させる担任。
生徒達も、重い雰囲気の中、先生の話に耳を傾ける。
もう、春輝に構おうとする人間はいなかった。
───1人を除いては。
「…何かスゴい人だなぁ」
自らの隣に座った春輝を見ながら心の中で呟くのは、クラスの人気者・桜堂春歌。少女は興味深そうに春輝を見ていた。
「…あれ?」
ふと、春歌の目にあるものが止まる。それは、
「あのケース──」
先程の世良少年の話にも出た、春輝が常に肌身離さず持っている、例の謎のケースである。
「あれは…」
春歌は、何かに取り付かれたかの様にそのケースに目を奪われていた。
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