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あの後
俺たちは恋人に成り立ての2人みたいに
初々しく残りの時間を過ごした
その時間はあまりに幸せで
俺はあのことをすっかり忘れてた
「忘れてた!
お前じゃあなんでさっき
¨結婚しなきゃ良かった¨
なんて言ったんだよ!」
そうだ
ことの発端だったはずのこの言葉
あれは一体なんだった?
「あぁ
あれね…」
彼女はクスクスっと笑って話した
あたしの旧姓は有馬でしょう?
結婚したから吉井になっちゃったじゃない
いっつも五十音順で一番だったのに
最後になっちゃって不便なんだもん
ゴメンね
と笑う彼女はなんだか狡くて
もう知らねーと拗ねて見せた
なぁ…
俺は何時までもこうしていたいよ
何歳になってもこうやって笑っていたい
君と二人で歩いていく
俺また頑張るから
頑張るからさ?
だから君もヤ行でも我慢して
今からちょっとずつ慣れてよ
だってきっと君は
もう一生ヤ行なんだから
*END*
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