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大会も終わって約束通り壮年男性の代わりに秘書になった杜若は、自分の仕事を終えてみちるの部屋でティータイムを楽しんでいた。
「杜若!あなたクロノスドライブ使ったでしょ、13回ほど!」
「ええ、使いましたよ。この横○夢本舗のケーキがあまりにもおいしかったので」
「あんたのせいでその分お手洗いに行くはめになったじゃない!」
クロノスドライブは時空と空間の管理者に与えられた特権であり、発動すれば時間を遡れる。その際にすべての生命体は時間を遡った事を覚えているらしい。
つまり何回でもやり直したり、同じ体験ができる。だから先の大会でも敗北はありえなかった。
「本当に記憶が消えないなんて趣味の悪い技よねぇ」
「仮にも時空と空間の管理者なんですからその程度の事は造作もないのですよ」
「でもそんなに連発しても大丈夫なの?人として」
「案外簡単に使えるし制限無いんですよ、それにわたしは女神様ですよ。全ての人間の羨望の眼差しで見られる存在ですよ、だから私は何をしても許されるのです」
「……もういいです」
「それよりみちる様、優勝の権利は捨てましたが私の活躍を称えて結婚してください」
「何か言いましたか?杜若【フナムシ】」
「いえ、結婚はアメリカンジョークです。でも……、これからも一緒ですよ、みちる様」
「みちるでいいよ、私も今度からイオリンって呼ぶから」
「みちる、なんで苗字で呼ぶんですか!ある種格下げではないですか!」
「じゃあ杜若はなんて呼ばれたいの?」
「俺の嫁で」
「却下です。って、それじゃあさっきの全然ジョークじゃないじゃない!」
そんなくだらない会話をしながらみちるは右腕を差し出し、最高の笑顔でこう言った。
「でも…まぁ……杜若、これからも私と一緒にいてくれたらうれしいな」
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