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「──オッケー、息ぴったり。休憩しようか」
シャッター音が止まり、スタジオにスタッフの息をつく音が響く。
朱里はセットに座っている倫弘と向かい合い、彼の肩に手をかけ振り返る──指定されたポージングから解放され、盛大な溜め息をついた。
「倫弘とカップル扱いなんて、もううんざりって感じ」
「おまえねえ、それが先輩に向かって言う言葉か!」
大手電化製品メーカーで、朱里はポータブル音楽プレイヤー、倫弘は液晶テレビのイメージキャラクターに起用されている。
発案はメーカーからか広告会社からかは判らないが、朱里と倫弘のデュエット曲をそれぞれタイアップし、映像も広告も対になるような企画が出され、ふたりはこうして仕事で絡むに至った。
曲とプロデュースは倫弘、詞は朱里。
曲も完成しないうちからメーカーはマスコミにこの企画を流し、歌姫とイケメン俳優の組み合わせは既にかなりの注目を浴びているらしい。
幼なじみと仕事なんて嫌、そう言えるなら言いたいと朱里は思った。
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