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「お金払わなくていいの?」
恐る恐るパンを受け取ると、店番の男はあっさり手を離した。
義務的な動き。感情が一切こもってない。そもそもこの男に感情など存在するのだろうか。
「あ……ありがとう。お金本当にいいの?」
男は無反応だった。
なんだか気が滅入ってしまった。
買った……いや、もらったパンを手に私は街へ向かってさらに一歩、歩を進めた。
繁華街なのか、あるのはお店ばかり。
家や会社や学校などは一切存在しなかった。
私は多くのお店に入ったが、どこの店も店番をしているのは同じような人ばかり。
感情のない無表情、義務的な動作。
とても人間とは思えない。
私はあの目に恐怖を感じた。近づきたくないと、思った。
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