物語の幕開け

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  「僕は5日前、君に道を尋ねた男だよ。そのまま君を誘拐しようとしたら君は思ってた以上に抵抗するもんだから、ボッコボコにしてやった。そしたら君は気絶しちゃった。5日間もね。」 足りないパズルのピースが少しずつ埋まって行くように。 私の脳は少しずつ話を飲み込んで行った。 「君が寝ているこの場所は、ラブ・アイランドの中の教会だよ。」 地に膝立ちになり、私の寝ているベッドに組んだ両手を乗せて、私と目線を合わせながら話す男を尻目に、私は体を起こした。 「おい、怪我をしてるんだから無理はするな。」 男は立ち上がって私を支えようとする。 「優しい言葉かけたってね、ちっとも感動なんかしないわよ!誰のせいで、こうなったと……」 「強気なお姫様だ。」 男は笑った。 痛みだらけの体を無理矢理起こして、自分の寝ているベッドと教会を見渡した。 教会にベッドがあるなんて、とても不自然。  
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