僕だけの花嫁

物語の幕開け

｢きっとみんなが私のこと心配してる。帰らせて。｣

まだ、平常心を保てた。なんとかなると思っていた。

交渉によっては帰れると思っていた。

それに何よりこの国にいるのが私と男だけなんてこと本気で信じてはいなかった。

この教会の外に出れば、きっと人がいる。
明るい商店街が並んでいて、私はきっと家に帰れるって思ってた。

もしそうじゃなかったとしたら、これはただの悪い夢なんだと思える自信があったから。