______

2/2
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
  「学校に行ったんじゃなかったの?」 女性は困ったように話しかける。病院で眠る娘の横顔に。 「ねえどうしちゃったの?愛良(アイラ)。」 眠る娘の手を守るように握りしめ、涙を流した。 口には呼吸器、頭にはネットが巻かれている。彼女の体にはたくさんの管が繋がれていた。 愛良を“可哀相な子”に見せるための、飾り物にしか思えない。 「お母さんね、あなたが死んだら生きていけないの。あなたのことが大事なのよ。」 聞こえているのかすらわからない小さなその耳に、彼女は何度も訴えかけた。 愛良がもう、死にたいなんて思わないように。  
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!