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「学校に行ったんじゃなかったの?」
女性は困ったように話しかける。病院で眠る娘の横顔に。
「ねえどうしちゃったの?愛良(アイラ)。」
眠る娘の手を守るように握りしめ、涙を流した。
口には呼吸器、頭にはネットが巻かれている。彼女の体にはたくさんの管が繋がれていた。
愛良を“可哀相な子”に見せるための、飾り物にしか思えない。
「お母さんね、あなたが死んだら生きていけないの。あなたのことが大事なのよ。」
聞こえているのかすらわからない小さなその耳に、彼女は何度も訴えかけた。
愛良がもう、死にたいなんて思わないように。
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