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私はお店の人の元へ急いで駆け寄った。
顔立ちが明らかに日本人ではない。
日本語が通じるのかすら定かではないが、何もしないより100倍マシだと思った私は、話しかけることにした。
「あの。」
私がそう呼び掛けても、こちらに目を向けることもなく蝋人形のごとく突っ立ったままだ。
「あの!!すいません!」
……語勢を強めてみても、相変わらずの無反応。
「excuse me!」
私は次第に焦りを感じる。
もう会話は諦めて、パンでも買って行こうと思った。
フランスパンを2つトレーに乗せて、レジに置いた。
店番の男は、死んだ魚のような目を手先から一切そらすことなく、パンを袋に詰め始めた。
「……あ、お金。」
どうしよう、持ってないや。家まで取りに行こうかな。
私は店番の男にそう伝えようとしたが、男はただ無表情でパンの入った袋を私に押し付けてくるだけ。
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