絶望の渦で…

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全員に食料を配り終わった頃、フォルスは麻袋の中に手を突っ込むと、あることに気づいて数秒ポカンとしてから一番奥の牢部屋に入った。 (まさか、自分の分まで渡してしまうとは…) こんな生活をしているために空腹には慣れていたが、周りが食べているなかとあっては、さすがに部屋の片隅に座って途方に暮れていた。 そんな時だった。 「フォルス!」 投げ掛けられた言葉ともに飛んできた物体をフォルスはキャッチした。 手に取れたのは、自分がみんなに渡し切ってしまったパンだった。 「ドジだなー? みんなに夢と希望を与えて、お前が倒れたら意味ないって」 フォルスと同じくらいの歳の若い青い短髪の男がにんまりと笑いながら、フォルスの横に座り込んだ。 「悪いな、タミー」 「いや、元々お前のだから! それに2つもくれたから、1つは食えたよ」 パンを齧り、食べながらフォルスはタミーに礼の言葉を口にしたが逆に返されてしまったようだ。 そうしていると、この牢部屋にまたしても客人が現れた。 「フォルスさん!」 「おっ? ルカじゃねぇか」 フォルスを呼ぶ声にタミーが反応してその名を呼ぶ。 ルカと呼ばれたのは、中性的な容姿の…まあ、それでも少年ではあるが歳はフォルスやタミーより、さらに若そうであった。
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