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絆。第0話
ここはある町にある学校。
暗我利(くらがり)高校。
そこの一年生にとても臆病で
いくじなしの少年がいました。
「進路は考えてるのか?」
やせ細った体型の先生が言う。
「あ…ぃ、いぇ… まだ…」
いくじなしの少年がおどおどと答える。
すると先生は、
「お前はなにをやってもダメなんだから、就職は諦めてまず進学をしたほうがいいんじゃないかなぁ」
少年はまたおどおどして、
「は、はぁ…わ、わかり…ました…」
話が終わり少年は職員室を後にする。
教室へと続く渡り廊下を歩きながら少年は軽くため息をつく。
「僕って一体…なんなんだろう…」
小さな声で呟いたその少年の名は、
『富田光希(とみたこうき)』
ここは暗我利高校から南にある学校。
真羽由意(まばゆい)高校。
そこの三年生にとても頭がよくて
成績優秀な優等生がいました。
「また100点かっ!」
いかにも勉強熱心そうな先生が言った。
「私には勉強しか取り柄がないですから。」
優等生がはきはきと言った。
「今年はもうお前も就職かぁ。一年の時はあれだけいい大学に行って勉強したいっていってたのにな。一体どういう心境の変化だい?」
先生は聞いた。
「……」
優等生は少し黙ってから答えた。
「勉強以外にもなにか私にできることを見つけたいから…です」
話が終わると優等生は戸惑いながら部屋を出て行った。しばらく職員室の前で黙りこんで、静かに教室に帰っていった。その優等生の名は、
『三上秋(みかみしゅう)』
その真羽由意高校の遥か西にある学校。
実名互露私(みなごろし)学園。
そこの二年生にとてつもなく恐ろしく
凶暴な不良生徒がいました。
「龍哉、お前進路は?」
髪が薄い先生が聞いた。
「あ゛?なんべん言わすんだよ!んなもんねぇっつってんだろうが!」
制服のボタンが全部はだけている不良が怒鳴り散らした。
「いい加減職員室で騒ぐのはやめたまえ。ほかの先生に迷惑だろう。」
先生が注意する。
「んなもん俺が知るかよハゲ!みんなぶっ壊れちまえばいいんだよ!こんな所!」
不良は目の前にあった椅子で先生の後ろのガラスを割った。
「こら!やめないか!」
「俺は誰にも縛られねー!邪魔するなら全員ぶっ殺す!!!!」
そう言うと不機嫌そうに職員室を後にする。その不良の名は、
『鬼季龍哉(ききたつや)』
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