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「ちょっと、動かないでよ」
「ごめんなさい。蚊がいたものだから、つい」
「いま、冬だった気がするのだけど」
血を吸うのだから、それは蚊だろう。
そうでなければ、蝙蝠か。
……どちらでもいい。元よりこんな戯言に意味はない。
そろそろ、この少女と話をするのも億劫になってきた。
「私を、諦める気はない?」
今度は私から問いかける。最後の忠告だった。
「当然。その為にここに来たのだからね」
「そう。なら、仕方ない」
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