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草木も眠る丑三つ時。
街から灯の光が消える頃。
私の前に、唐突にそれは現れた。
漆黒の翼を広げ、月を背に佇む少女。
いつからそこにいたのかは分からない。当然のように、それは立っていた。
月明かりのせいでよく見えないが、その少女はなんだか楽しそうに見えた。
と、その少女が私のほうへと歩を進めてきた。
どうやら少女の興味の対象は私らしい。
私と大して背も変わらないはずなのに、どこか気品を感じさせる雰囲気だった。
「 」
少女が何事か呟いた。
――――『み つ け た』
そう言ったように見えた。
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