殺人鬼と吸血鬼

2/16
前へ
/23ページ
次へ
草木も眠る丑三つ時。 街から灯の光が消える頃。 私の前に、唐突にそれは現れた。 漆黒の翼を広げ、月を背に佇む少女。 いつからそこにいたのかは分からない。当然のように、それは立っていた。 月明かりのせいでよく見えないが、その少女はなんだか楽しそうに見えた。 と、その少女が私のほうへと歩を進めてきた。 どうやら少女の興味の対象は私らしい。 私と大して背も変わらないはずなのに、どこか気品を感じさせる雰囲気だった。 「    」 少女が何事か呟いた。 ――――『み つ け た』 そう言ったように見えた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加