殺人鬼と吸血鬼

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「吸わせてくれないの?」 「それ以上近づかないほうがいい」 「おお怖い。しかも銀製じゃないそれ」 「悪いけど、他を当たってちょうだい」 「嫌よ。私は貴女がいいの」 「後悔するわ。色々な意味で」 「しないわ。運命だもの」 少女はくく、と悪魔的な笑みを浮かべると獣のように飛び掛ってきた。 私はそれを寸前で躱し、振り向きざまに一閃を見舞う。 案の定外れた。銀閃が虚しく空を切る。 「くふふ……、いい腕をしているわ、貴女」 「あなたはいい爪をしているわね」 「ありがとう。貴女の為に研いできたのよ?」 その時、つう、と頬を何かぬらりとしたものが流れた。 本当に、いい爪をしている。 ――――ジュルリ。 少女が己の指に付いた紅色を舐めとる。 途端、恍惚とした表情を浮かべた。頬も熱を帯びていて、こころなしか息も荒い。
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