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「ふふ……、やっぱり私の眼に狂いは無かったわ」
「満足した?」
「私は直接吸いたいの。貴女のその細い首筋から」
「本日の献血は終了しました」
「悪いけど今の私は血に飢えてるの。味見だけじゃ全然物足りないわ」
「さっきので我慢して。この通り」
「姿勢、変わってないように見えるけど?」
「心の中では誠心誠意距離を置かせていただいているわ。この通り」
「なら、尚のこと距離を詰めなきゃね」
少女が更に距離を詰める。
お互いの吐息がかかり、心臓のリズムが聴こえそうな距離。
私の意見なんて、最初から聞くつもりなど無かったらしい。元より、私も少女の意見を聞くつもりは無い。
懐から、もう一本のそれを取り出す。なんのことはない、少し前に宿屋から拝借したものだ。
それを見た少女が、くつくつと、実に愉しそうに笑った。
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