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「随分と可愛らしい武器ね。ステーキナイフ?」
「生憎お金が無いの。就職難でね」
「ま。人間て見る目ないわね。私だったら貴女みたいなの、大歓迎よ?」
「そう。物好きね」
「ええ、よく言われるわ」
くるり、くるくる。
手のひらの中で、ナイフを弄ぶ。
少女の手の中では、同じように私の運命が弄ばれていることだろう。
人の弱みに付け込み、魂を縛り、運命を狂わせ、破滅へと追い込む。
悪魔は得てして、そういうものだ。そんな事を、昔誰かが言っていた気がする。
そう言っていたのは、誰だったか。
今はもう名前すらも思い出せない。
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