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スコールが、ゆっくりと大地の守護者の入り口へと歩いていくと、入り口に立っていた警備兵が、スコールに声を掛けた。
「失礼! どのようなご用件ですか?」
警備兵は自分より遥かに若いスコールに対して、敬意を払いつつ丁寧に、しかし威厳を持って声をかけた。
大地の守護者のメンバーというのは、エリート中のエリートであり、たとえ末端の一兵卒といえど王宮騎士団や国軍の最精鋭部隊と同等か、それ以上の実力を持っている。
そんなエリートにも関わらず、年端もいかない若者にさえ敬意をこめて対応している。
そこに大地の守護者の、組織としての完成度が現れていた。
スコールに声を掛けたのも、≪大地の守護者≫の本部に用事のあるものといえば各国の政府の関係者か、≪大地の守護者≫の関係者位で、よっぽどの事でない限り一般の市民が訪れる事など無いからだ。
「カイル ギルティアと面会だ」
スコールは平然と、少し素っ気無く、そう答えた。
そんなスコールの答えを聞いて警備兵は、
「いやっ……カイル様はその……とてもお忙しい方でありまして……」
一般人と思われる青年を前に、言葉を詰まらした。
もっとも、警備兵が困り果てるのも無理は無い。
カイル ギルティアは、気さくな優しい人柄で、市民にも人気のある人物だが、本部長という立場にいる。
本部長というのは、≪七帝≫の下の階級にあたる地位である。
大地の守護者最高権力者は、創設者である≪正義の番人≫または≪総帝≫とも呼ばれるスコールであるのは、言うまでもない。
しかし、正義の番人が所在不明の現在では、七帝が集まって行う≪七帝会議≫が、大地の守護者の最高意思決定機関である。
ただ七帝は、普段は姿を現すことは無く有事(武力を必要とし常人では対処不可能なもの)のみ活動する為、平時においては本部長であるカイル ギルティアが最高権力者という事になる。
つまり≪大地の守護者≫という組織が成り立っているのは、カイル以下各部署の隊員達のお陰である。
この警備兵が困り果てるのも無理からぬ事だった。
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