英雄の帰還

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 スコールは、そんな警備兵に 「問題ない! 呼ばれたのだ……確認を要請する!」 まるで歴戦の兵士のような、キビキビとした口調で答えた。 すると警備兵は、目を丸くしてスコールを凝視してから、サッと姿勢を正すと 「失礼致しました! 玄関を入った正面に受付がございますので、ご用件をお伝えの上、暫くお待ちください!」 そう丁寧に言うと一礼してから、元の場所に戻っていった。 スコールは仏頂面ながらも「ありがとう」とでも言うように、警備兵に頭を下げてから、玄関へと歩き出した。  スコールが受付で用件を伝えると、受付の女性は慌てた様子でどこかに連絡をとった。 その後、スコールを馬鹿丁寧な対応で、受付の前の近くのソファーに案内した。 ロビーには幾つかのエレベーターが設置されている。 しばらくすると、一番中央の扉が開いて一人の若い金髪の紳士が出てきた。 長身の中性的な顔立ちで、綺麗に手入れされた金髪を肩まで伸ばし、頭の後ろに一まとめにしている。 白いスーツが良く似合うその姿は、どこかの貴族の御曹司を思わせる。 しかし首筋に残る痛々しいほどはっきりした、大きな傷跡が、彼が歴戦の勇士である事を窺わせる。 年齢はまだ二十代後半といったところだ。 その紳士がエレベーターから出てくると、ロビーにいた大地の守護者関係者や、政府関係者や来賓、スコール以外の一同全員が一斉に立ち上がり、その紳士に敬礼した。 紳士は、慣れた素振りで涼やかに返礼すると一直線にスコールへと近づいてきた。 この紳士こそ≪カイル ギルティア≫その人であった。 本部長という肩書きからは想像出来ない若い紳士だ。 カイルは、涼やかな笑みを浮かべてスコールに駆け寄った。 そして、姿勢を正すと、洗練された美しいまでの敬礼をスコールに捧げた。 その瞬間のロビーの唖然とした空気といえば、まるで時間が止まったかの様だった。 無理もない、カイルはどこかの国王か、七帝位にしか敬礼などする事はないからだ。 それが小汚いローブを纏った、年端もいかない青年に敬礼したとなれば、心臓が止まるほどの衝撃だ。 スコールはその空気に耐えられなかったのか、仏頂面を目一杯しかめた。
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