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首都ウィンフォードの中心には、巨大な城があり、城を囲むように城壁がある。
そしてその周りには街があり、その街を囲うように大きな城壁がある。
大きな城壁の外には、難民が集まり作った街があり、更にその街を囲うように小さな森がある。
そして城を合流点に北、東、西から川が流れている。
その川は、城の中で合流して小さな湖を作った後、南へと流れ出し、大きな一本の川になっている。
水も豊かにあり、緑に囲まれたこの国は、戦後急速な復興をとげ、平穏を取り戻していた。
そんな首都ウィンフォードに、≪大地の守護者≫の本部はあった。
城から南に流れ出した大きな川、その両端にアーチ上に足を下ろした一際大きな建物、それが大地の守護者の本部である。
そして川に跨った建物を中心に、円形に公園が作られ、川の東側を≪正義の守護神公園≫、西側を≪正義の番人公園≫と呼んでいる。
東西の公園の入り口付近には、露天や市場が並んでいて、市民の憩いの場になっていた。
もちろん、東西を行き来するための橋も掛けられていて、大勢の人でいつも賑わっている。
シトシトと降る雨の中、薄暗い森を一人の青年が歩いていた。
黒いローブを頭から被った青年だ。
綺麗な黒髪を無造作に、伸ばしている。
身長は少し高めで、容姿端麗の、男らしさを感じさせる顔立ちである。
黒々とした瞳から、漆黒の強い眼光を放ち、若さに似合わない仏頂面で歩いている。
青年は、ふと立ち止まり、ウィンフォードの街の方に目をやった。
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