転機

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「どうした?」 「い、いや…そこの草むらから」 ザザッ 「ほらっ」 「!」 二人は激しくビビり、ゆっくりと後退する。 そして『その主』は姿を現した。 「アクングンイン?アディンアン?」 「アナドナ?」 長い耳、鼻、後頭部 緑の皮膚 不気味な顔つき その姿はよく漫画や映画で見た覚えがあった。 現実世界で出会うはずのないそれは、ヤリを構えてこちらを威嚇していた。 「あれって…?ほら、ハリーなんとかって映画に出てきたやろ?…ほら、確か」 「ゴブリンってやつ」 「は、は!!?」 「ちょっと待てや!何やねんこれ!ふざけんのもたいがいにせぇや!」 2体のゴブリンはヤリを構え、明らかに二人を殺す気でこちらに迫っていた。 言ってみればピンチだった。 「エゲゲゴゲ!」 直後、ゴブリンはヤリを構えてこちらに突進してきた。 「うわあああ!」 花水は激しく怯え、恐怖からか体が固まって動けない。 しかしタクヤンは 「馬鹿!動けや!」 咄嗟にアメフト選手のように突進し、花水を押し倒した。 辛うじてヤリは当たらず、二人は九死に一生を得る。 「ご、ごめんタクヤン」 「感謝は後や!そ、それより今の現状をどうにかせんと!」 2体のゴブリンは再びヤリを構え、二人を殺害する気でいた。
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