Him who does rare action.

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+side S+ 「はー……疲れた」 寮の自動ドアを抜け、エントランスを突っ切り、エレベーターに乗り込んだ俺は一人呟いた。壁に凭れて右へ右へと移動する明かりを眺めながら、軽くスーツのネクタイを緩める。 今日、俺は学園の仕事を他の役員に任せて家に帰っていた。理由は両親の結婚二十周年記念のパーティーに出席するためだ。 立食式の大規模なパーティーには比較的近しい親戚、本社の重役、各支社の社長、国内外の取引先、母親の友人、父親の友人、政治家、芸能人など数多くの著名人が招待されていた。 俺は正直こういったパーティーは苦手だ。 純粋に祝うだけならいい。しかしそんなわけにはいかないのが現実というもの。必ず金が絡んでくる。 パーティーが始まれば、あちらこちらで雑談混じりに仕事の話。こういう場は様々な人が集まるから、ビジネスチャンスになる。 こういうのはまだいい。俺にあまり実害がないから。むしろ勉強になったりする。 厄介なのは俺を目的にして話しかけてくる人たちだ。 『獅毅さん、この度はご両親のご結婚二十周年おめでとうございます。ほら、あなたも』 『あ、あの、おめでとうございます』 『ごめんなさいね。この子、まだ大きなパーティーに慣れていなくて。沙耶香さん、獅毅さんにご挨拶しなさい』 『はっはじめまして。神原沙耶香です。よろしくお願いします』 いずれ会社を継ぐのは俺だ。親父は実力主義だから、俺が継ぐこと自体がいつになるかはわからない。しかしそれに一切文句はない。実力が伴わない奴が上に立つと碌なことにならないということを、俺もわかっているから。俺だって親父と同じ考えだ。 .
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