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「美咲……」
「うわっ!?ちょっ、獅毅?どうしたんだ?つか、今、火っ!火使ってるから!」
料理をしていることには構わずにスタスタとキッチンに向かい、背後から美咲を抱きしめた。
俺の唐突な行動に驚いている様子の美咲。そんな美咲の白い首筋に目を閉じて顔を埋める。スンと匂いを嗅げば、美咲特有のほのかに甘い匂い。この匂いは普段から甘いものばかり食っているせいだと俺は勝手に思っている。
「おーい、獅毅ぃ?なあ、どうしたんだよー」
少し落ち着いたらしい美咲の問いには答えず、抱きしめる腕の力を強くした。
はあっと小さく溜め息を吐く音がしたあと、カチンと火を止める音が続く。そしてもぞもぞと腕の中の美咲が動くから仕方なく顔を上げた。ちょうど美咲は体を反転させていて、俺たちは向かい合う形に。
「しーき。どうしたんだって俺は聞いてんの」
額同士を合わせ、両手で俺の顔を挟むようにして聞いてくる。
三度目の問いかけで、ようやく俺は今日あったことを話す。俺が話している間、美咲はうんうんと相槌を打ってくれていた。
「そっか。大変だったんだな。お疲れ様」
話し終えると美咲はそう言って俺の頭を子ども相手にするみたいに撫でる。
美咲の頭を撫でること自体は好きだからよくするが、俺自身が撫でられるのはあまり好きではない。しかし今回ばかりは嫌な気はしなかった。
「美咲」
「ん」
間近にある甘美な唇に軽くキスを一回。一回してしまえば、もう一度さっきよりも長くしたくなる。三回目はもっと深くしたくなる。
素直に欲求に従い、美咲の薄く開いた唇の間へと深く舌を侵入させる。
美咲の体温よりも熱い口内。熱い舌。
酔いしれたように美咲の甘い舌を吸って、噛んで、また吸って。その度に腕の中の体は小さく震え、くぐもった喘ぎが漏れる。
それに煽られた俺は片手で美咲の体を支え、もう片方の手で薄いシャツとエプロンの二枚の布の上から胸を撫でるように触る。
「ん、んぅ……ふ、ん」
さらに美咲の脚の間に膝を押し入れ、ぐいぐいと股間に刺激を与える。そうすれば美咲の膝はあっという間に崩れた。
床にぺたりと座り込んだ美咲の顔は赤く、息は荒い。その姿が堪らないくらいに艶かしく、俺はその場に美咲を押し倒した。
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