第二章

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「ここよく来るの?」 お茶を一口飲み聞いてみた。 「昔は毎日のように来てたんだ。でも最近は忙しくて久々に来たよ」 圭介は魚の骨を不器用に取りながら答えた。 そして嬉しそうに続ける。 「ここは旨いし安いし、何より落ち着く」 その時、明るい笑い声が聞こえてきた。 視線を移すと、おばあさんとホストが楽しそうに話している。 「明るい人だろ?」 圭介はその光景を見つめ微笑みながら言った。 「ここに来るもぅ一つの楽しみはあの人がいるから…すっげー温かい人なんだ。 ここにいる人みんな同じ気持ちなんじゃないかな?」 何となく分かる気がする。 ホストの仕事がどれだけ大変かは分からないが、きっと安息の居場所なんだ。 金や欲望が溢れかえっている街の片隅にある、この場所が。
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