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外に出るとすっかり太陽が顔を出し朝の匂いがした。
伸びをしている圭介の茶髪が光に当たって綺麗だ。
「仕事いける?
こんな時間までごめんな」
圭介は振り向くと申し訳なさそうにしている。
「全然大丈夫だよ。夜からだし。
こっちこそ…色々ごめんなさい」
「電話は出ろよな?
心配すっから」
圭介は私の頭をポンっと叩く。
「じゃあ帰るか!
家どこ?送ってくよ」
「いいよ、ここから近いし圭介は昼から仕事でしょ?
ひとりで帰れるから」
「そっか…悪いな。
じゃあまた連絡する!
またな!」
手を振り別々の方に歩き出す。
よくこんなにポンポンと嘘が出るもんだ、と苦笑いが出る。
そして苦しくなった。
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