第十二章

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マンションが見えてきた時、携帯が震えた。 '今日はすごく当たり!髪の毛好評だよ。ありがとう' コンパの当たりがどぅいうものかはよく分からないけれど、順調らしい麻美さんの絵文字だらけのメールを見て顔が綻ぶ。 そして続きのメールを見て足が止まった。 '里沙ちゃんも来たら良かったのに…もしかして里沙ちゃん好きな人いるの?' 好きな人…いるよ。 忘れれない人がいる。 「里沙!」 突然の後ろからの大きな声。 空耳なんかじゃない。 忘れたくても忘れれない声。 体から離れない声。 信じられなかった。 こんな事ってあるんだろうかって。 「里沙」 今度はすぐ後ろで聞こえて私はゆっくり振り向いた。 「…圭介…」 空耳でも幻でもない。 そこには忘れることのできない愛しい人がいた。
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