第二章

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言われたままその簡単な履歴書のようなものにペンを走らせていく。 書き終わると同時に最初の男が現れ私の目の前に腰をおろした。 「改めまして。田宮です」 そぅ言って差し出された名刺を見ると名前の横に部長と書かれていた。 「部長さんだったんですか?」 「一応ね」 この世界の肩書きなんて分からないが何となく位が高いであろうその名に驚いてしまった。 「現場には出てなかったんだけど人手が足らなくてね。 新任の店長が決まるまでの代わりなんだ。 といってもぅ何年目だろ…ボーイ以外は店長って呼ぶし女の子達は部長って事忘れてるんじゃないかって思うよ」 彼は溜め息をつきながら愚痴を零す。 でもどこか嬉しそうで「現場はやっぱり楽しいけどね」と目を細め笑った。
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