第二章

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その後、店長は仕事内容を説明してくれた。 未経験の私にも分かりやすく丁寧に。 「慣れれば簡単だから」 彼は眼鏡の奥の瞳を細くして微笑む。 優しい色をしている瞳だと思った。 「じゃあ名前。何にしよっか?」 店での名前…源氏名か… 何も思い浮かばず、暫く考えこんでいると店の扉が開いた。 明るい笑い声と共に数人の女の子が入ってくる。 「みんなここの女の子達だよ」 店長にそぅ言われ彼女達を見ているとその中の一人と目が合った。 彼女は小走りで近づいて来ると満面の笑みを向けてくれた。 「新しい子? 私、沙奈!よろしくね!! 名前は?」 「あっ…よろしくお願いします。えっと…名前まだ決めてなくて」 「うそー!じゃあ私が考えてあげる!! 本名は里沙ちゃん?」 彼女は履歴書の名前と私の顔を交互に見比べる。 彼女の勢いに圧倒され私は頷くしかできなかった。 「里沙…り、り、リンちゃんは?!」 彼女は顔をパァっと明るくして言った。
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