壱拾

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―バン 固っていた隊士は動き出した。 総司「桜華さん!」 土方「座れぇぇ!!」 桜華を追いかけようとした総司と他の隊士に言った。 山南「土方君?」 土方の只ならぬ怒りに問いかけた山南。 土方「テメェら!よく聞け! 知ってる奴が居るが、桜華は親から金儲けの道具として扱われた。」 知らなかった隊士はただ驚くばかりだった。 土方「3日前、一が門で倒れていた桜華を俺の所へ連れてきた。 目が覚めた見たとき、あいつは最初に『ごめんなさい』って何度も怯えながら言った。 それに、体中傷や痣だらけそして…尋常じゃない程色が白い。蔵の中で生活していたらしい。 テメェらに『化け物』は一切言うなと。 あいつは“化け物”と言われ育った。」 真剣に聞く隊士、中には涙ぐむ奴もいる。 桜華が連れてきた元浪士達は心に刻むように涙を流し、真剣に聞いている。 土方「桜華は俺に 『此処が、みんなさんが好きです。初めて生きたいと思いました。私が守るのは新撰組、幕府なんて関係無い。』とな。 あいつは喧嘩を嫌った、みんなで仲良くしたかったんだろう。食べ物を粗末に扱うのは腹が空いても何ももらえなかった経験があるからだろ。」 仁王立ちのまま土方は言い続けた。
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