壱拾弐

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夕方の屯所、近藤の部屋に隊長や副長などが集まっている。 近藤「今夜から明朝にかけて奇襲だろう。トシ、策はあるんだろ?」 近藤の右隣で座っている土方に聞く。 土方は前に並ぶように座っている隊長達を見る。 総司「もったいぶらないで下さいよ。それでなくても、私達殺したくてうずうずしてますし。」 総司の目が妖しく輝いている。斬り込みに行くときや人を斬るときの躊躇いの無い目。 ―スタッ 土方の後ろに着地した山崎。土方に耳打ちをする。 山崎「忍はおらへん。 敵さんは二手に分かれ奇襲をかける気や。 堂々と表口と裏口や。」ボソッ 現状報告をしに来たのだ。魁は屯所の屋根の上にて待機している。 土方「お前が裏と島田が表…分かれて見てろ。」 裏口の方が確実に多いかな。 山崎「御意。」 屋根裏から外に出た山崎は魁に表口を見張るように伝え、自分は裏口と通りが見れる場所へ向かった。 土方「よく聞け。総司テメェは裏口に桜華お前は表口だ。隊士と共に待機し、斬れ。 見回りは通常通りにしろ。他は屯所周りを囲うように待機。 一、お前達は山南と近藤さんを守れ。」 『待って下さい!何故、桜華が表口なのですか!?』 土方の言葉に刃向かう隊長。近藤は仕方がなさそうな顔をし、山南や隊長は不満を訴える。 前線で戦った事のない桜華が二番目に危険を侵すのは間違いだと考えている。 桜華に至っては真剣な眼差しで土方に応え、不満を訴えた者達を見つめる。
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