壱拾弐

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桜華率いる零番隊は表口に集まる。 桜華「良いですか、此処から一歩も中へ入れません。命をかけ、新選組を守りますよ。」 『はい!』 日は暮れ、夜が訪れた。 魁「桜華さん。」 屋根から見ていたハズの魁が桜華の側に降りてくる。 魁「近付いて来ました。屯所の前に集い始めたらクナイで合図をします。」 忍装束の魁。目つきが鋭く可愛らしい顔立ちに似合わない。 桜華「頑張りましょうね。」 桜華は白い髪を高めの位置で縛り、ダンダラを着ている。 魁は屋根に戻り、暗闇に目を凝らす。 桜華「私が正面を。皆さんは二手に分かれ両脇をお願いします。 死にそうな怪我を負った場合、安全な所へ。」 凛々しく言う桜華。その姿は幾多の死線を越えてきた者。 幸田「桜華さんは怖くないのですか?」 震えながら言う。他の隊士も同じだ。 死に怯えているのだ。 桜華「怖いですよ。でも、“あの時”の恐怖を考えたら…。 皆さんは死なせません。虫の息であれば必ず生きますよ。この誠の文字に誓います。」 自信満々に言った桜華。 誰も死なせない。絶対に、どんな手を使ってでも。 ―カツン 柱に合図のクナイが刺さる。今から生死をかけた戦いが始まる。 灯りがあるから敵は見やすい。敵からも見やすいと言うことだ。 不思議と力が湧く。絶対勝てる。そう思えるからだ。
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