壱拾参

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父「いいかい?ここから出てはいけない。声も出してはダメだよ。」 娘を押し入れに入れながら言う父。 母「私の名を受け継いで🌕。あなたはこの神社の跡取り🌕🌕よ。」 ―ガタン 男「神主だな?」 刀を抜いた男達が入って来た。父は押し入れを閉め、刀を構える。 母「私が神主です。みすみす殺される訳にはいかないわ。」 母も布をほどき刀を抜く。黒い刀身と殺気を男達に向けながら言う。 男「殺せ!」 暗い押し入れの中、女の子は恐怖と戦いながらわずかな隙間から両親の様を見た。 両親も応えるように自分達の姿を娘の目に焼き付けるようにしっかりと刀を振る。 男「死ね!」 ―ズシャッ 赤い液体が部屋を染める。 そして、愛しい人の身体が崩れ落ちていく。 母「兄様!」 叫んだ母の口からは間違い無く『兄様』と出ていた。
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