壱拾四

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桜華「私の血には生き物を治す事が出来ます。 昔は…と言っても逃げ出す前は両親が決めた相手のみ治させてもらえませんでした。お礼と言って料金以外に私個人にお金をくれた人もいます。小さな擦り傷でも来ました。 私は門から聞こえる町の人達の『助けて下さい』と言う声を聞きながらも治しませんでした。 私は直接でなくても、間接的に殺したんです。 確かに斬った感触は辛いですけど、私はこれからも新撰組に居るのですから大丈夫です。 “死”を与えるのは慣れてますから…総司さん!?」 総司の腕の力が急に入ったので驚く桜華。痛い程力が入っているが身体に力が入らないためほどけない。 総司「桜華さん…。」 悲しい…悲しすぎる。私がこの悲しみを支える事は出来ないかな? 私の悲しみも強い。けれど、桜華さんに比べたらちっぽけな悲しみなんだ…。 心臓の音がうるさい程大きい。総司は心臓の音が静かな屯所に響かないように、桜華に聞こえないように祈りながら言葉を続けた。 総司「私に…私なんかでよければ…頼って下さい。 私でよければ桜華さんをこれからずっと支え、守らせて下さい。」 周りからは求婚に聞こえるような言葉を言った。総司は自分の顔が先程よりもずっと赤くなっていることを見なくても分かるほど熱くなっていた。 桜華「…だったら、総司さんの支えになります。我が儘だって…なるべく聞きます。」 総司の顔を見ようとしたのか首が若干動くが左頬が僅かに見えただけだった。 ―クスッ 桜華「な、なんで笑うんですか!?」 総司に笑われた桜華は言い返した。 腕の力は先程より強くないが、抱きしめたままだ。 総司「我が儘言って良いですか?」 桜華の耳元で肩に顎を乗せた総司が言った。 端から見れば恋人に見える。男色の…。 桜華「はい。」 総司は桜華を少しだけズラし、桜華の後頭部へ右手を伸ばす。 桜華は驚いた表情をしているが、総司が抱きしめると思っているのか動かない。 ゆっくりと桜華の顔が総司に近付く。
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