参拾七

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一「副長。桜華…熱があるかもしれません。」 眠った桜華の額にもしやと思い手を当ててみれば熱い。 土方「左之、テメェは冷たい水持って来い。一は自室に行き、布団を敷け。平助はそこの空気みたいな鉄之助とその文を片付けろ。俺は頃合いを見て一の部屋に行く。総司は勝手に行って冷たい茶を持って来い。源さん辺りが居たら粥の用意も頼んでくれ。」 平助と忘れさられていた鉄之助はすぐさま立ち上がり、大量の文を持って去っていく。 左之「このまんまじゃ、駄目なのか?」 一は左之助を無視し、総司と部屋を出た。2人は理由がわかっているらしい。 土方「馬鹿かよ…。いいか? 桜華は病人で静かな所で寝かせなきゃなんねぇ。此処は真逆だろ? うるせえ、自分で言うのもアレだが汚ねぇ。病人が居る所じゃねぇんだよ。」 左之助「成る程!」 よく分かったらしい左之助は勢い良く部屋を飛び出し、井戸へ向かった。 土方「さて、俺も向かうか…。」 軽々と桜華を抱き上げる土方。 こんな軽くて良くあんだけの力があるんだ?女中でも言って食事の量を増やすか…。 軽い桜華を心配しながら一の部屋についた土方。 中では布団を敷き終え尚且つ手拭いや桶を準備していた一。 土方「桜華を頼む。」 桜華を寝かせると一にそう言って部屋を出た。 池田屋の一件とその他の報告書や残暑見舞いなど仕事が山積みな自分を恨んだのは言うまでもない。 そして、冷たいお茶と沢山の甘味を持った総司と小さめの樽にいっぱい水を持ってきた左之助。
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