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左之助「っしぃ!」
『おしい』と言いたいのであろう左之助の突きをスレスレで避ける辻風。
スレスレに、余裕そうに突きを避け続ける辻風に苛立ってくる左之助。
土方「桜華、どうしてアイツは避けるだけなんだ?」
月夜を抱いたままの桜華に聞く土方。全員そう思っているのだろうが、桜華はその問いに苦笑いした。
桜華「私が5割って言ったからですよ。守備だけですけど…あれは完全に手を抜いてますね(苦笑)
ワザとスレスレで避けてますから。」
総司はその言葉に目をキラキラさせるが、他は複雑そうな顔をする。
左之助の素早い突きをワザとスレスレに避けるなどそれ以上の力が必要なのだ。
この程度。…この程度で壱琉様と稽古など…。
―フッ
笑った。黒い布で覆われた口元が緩んだ。
桜華「!!辻風!
止めなさい!」
その一喝は月夜の耳を塞いでから言った為起きなかったが、全員の動きが止まった。
辻風「い…壱琉…様?」
紡ぐように言った辻風。全員が驚くが一番驚いているのは辻風だ。
桜華「辻風。まず、左之助に謝りなさい。」
何時もは和やかに話す桜華だが今は古高を前にキレた時のようだった。
桜華「辻風。あなたは今、『忍』ではなく『武士』。相手を馬鹿にするような行動を詫びなさい。
それとも、理由がありますか?
最初の突きに反応した際、僅かに上げた竹刀を下げワザとギリギリで避けた理由が。」
桜華は見逃さなかったのだ。竹刀の剣先が左之助に向いたのにも関わらず落ちたのを。
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