参拾九

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桜華「辻風。何故、こんなにゆっくりなんですか?」 馬を走らせれば今日中には着く。なのに桜華を籠に乗せ、一、土方、左之助は馬にまたがりゆっくり歩いている。 桜華「辻風達なら大丈夫なのに?」 左之助は鉄之助を乗せて、一は月夜を抱えながら馬を操る。 辻風「壱琉様の姿を伝える為です。事実的には若宮家が国を支えているようなものですから。」 全てにおいて影に若宮家が居る。歴史の影にも。 それだけ強大な権力と財力を持つ若宮家の頂点に立つ、自分。 桜華「姿って言っても隠してるけど?」 辻風「良いんですよ、存在を伝えられれば。」 桜華の居る籠の脇を歩く辻風の手には布でくるまれた雪椿と紅椿。 月夜「母さま、抱っこ~。」 月夜は1人の忍に抱き抱えられて来た。 桜華「おいで。」 月夜を受け取り、籠の中で抱くとすぐ眠ってしまった。
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