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顔が赤くなっていくのを自覚して、ナツは恨めがましく葵を睨みつけた。
昔から、ナツは葵にからかわれる節があるのだ。
ネタの尻尾を掴まれたら最後、彼が飽きるまで散々ネタにされる。
いつものことだが、呪いが掛かってからは一年のブランクが発生するためかナツはそのことをすこんと忘れてしまう。
『自分から白状したな』
葵の声音にからかう色が帯びて、ナツは頬を膨らませながら開き直る。
「だって思った以上に難しかったんだもん! 仕方ないでしょ……って笑うなーー!」
予想通り笑い始めた葵に、ナツはトランペット片手に向日葵をポカポカと叩く。
その容赦のない連打に、さすがの葵も降参して謝罪の言葉を投げる。
『ごめんって。ところで』
葵がようやく笑いを止めて、
『何でトランペットなんだ?』
至極まっとうな質問をしてきた。
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