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その質問にナツは、視線を宙にさまよわせてから消え入りそうな声で呟いた。
「……秘密」
吹奏楽に興味を持っていたのは本当だ。
入部して楽器を選ぶ時、ナツはたまたま目に入ったトランペットの形を見て思ったのだ。
--何だか向日葵みたい。
全体的なフォルムが向日葵を連想させ、葵のことを思い出させる。
夏の間しか一緒にいられないから、これなら一年中一緒にいられるかもしれないと、ナツは思ったのだ。
しかし、それこそ葵に言ったら散々からかわれるに違いない。
だからこそ、秘密にしてナツの胸の奥にしまっておくのだ。
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