ひかゆり

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       鍵を掛けたドアに、侑李が  力無く手を伸ばした。  「誰も来ねーよ」  俺の言葉に侑李の目から  沢山の涙が溢れた。  こんな姿を可愛いと  思うなんて、  俺はどうかしてる…  「…光君はズルいよ…   皆の気持ち、   簡単に持っていくのに…」  「は?」  「なんで僕なの?」  俺を見る侑李の目を  見れない自分が居た。  強い侑李の視線に、俺は  殴られた気分だった。  「薮君の気持ちも   考えてよ…」  「っ……」  なんで?なんでそんな  悲しい顔すんの?  少しだけ…  期待するだろ…  「薮なんか関係無い」  「…光君が本当にそう   思うなら   僕を抱いてもいいよ…」  静かに目を閉じた侑李。  「…侑李……」  俺は、確認するかの様に  侑李にキスをした。  バカ侑李…  今なら歯止めが利くのに…  俺が嫌なら早く逃げろよ… .
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