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あまり顔は動かさず目で自分の首元を見る。
見てみれば妖しげに光るもの…
…刃物?!
「…!!なっ?!「叫ぶなや…」
─後ろから低い声がした。
ゾクッとする程低くて、逃げたくても脚が言うことを聞かない。
何がどうなってるのかわからない。
私は息を呑んだ。
「オマエ…何処の忍や…」
男は冷たく低い声で問う。
私…殺されるの…?
"しのび"ってなに…?
頭の中で男の言葉が回る
「…ほぉ~…俺様が聞いとんのに答えんつもりか?…答えんのやったら…」
男は私の首元にある刃物をグッと押し当て少し横にずらす。
「…っぅ"!!」
首元に鈍い痛みがはしる。
「なんやこれだけで痛いんか?…皮一枚切れただけやで?」
恋歌の声を聞いて妖しげにククッと笑う男。
─殺される─
そう思った瞬間、私の身体はカタカタと大きく震えだした。
恐怖のあまり頭の中は真っ白になる。
怖い…怖いよ!!
思い浮かぶのは航の顔。
「っ!」
…ダメ…まだ死ねないよ…!
もう一度だけ…航に会いたい!!
しかし逃げようとしても身体に力が入らなかった。
言うことを聞かない身体にムチを打ち、必死に動かす。
「なっ?!!」
男はいきなり抵抗し出すと思わなかったのだろう。一瞬だけだが力が緩み、隙ができる。
その一瞬を見逃さず私は男の腕から逃れ走り出した。
まさか抵抗され、その上逃げられるなんて思っても見なかった男は数秒ポカーンとしていた様に見えた。
「フ…フフフフ」
─必死に逃げる恋歌の後ろ姿を見て、男は不気味に笑いだした。
「アカン…女や思て油断してもうた…せやけど…この天才監察方・山崎 烝様から逃げられると思ったら大間違いやで?」
男はそういうとフッと弾かれたように消えた─
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